実習について
社会福祉士 通学科(夜間)を2006(平成18)年卒業、精神保健福祉士(通信)科を2015(平成27)年卒業の平塚さんに実習について語っていただきました。
まずは、平塚さんのプロフィールからご紹介します。
お名前 | 平塚 勝 |
職業 | 精神科病院 精神保健福祉士 |
経歴 | 老人保健施設・有料老人ホームで介護福祉士。
老人保健施設で支援相談員を経て現職 |
今回のオープンキャンパスイベントのテーマは「実習」です!!
主に精神保健福祉士(通信)科での実習についてお話を伺いました。
実習履修対象の方は是非参考にしてください。
第一章 内容編
内容に移る前に、なぜ社会福祉士・精神保健福祉士を取得しようと思ったのですか?
平塚さん:
社会福祉士は…
その人個人を見る介護士としての視点と家族も含めて支援する支援相談員としての視点の違いに気づき、両方の視点をもつことで質の高い支援ができるのではと考え、取得しようと思いました。
また、精神保健福祉士は…
現在の病院でケースワーカーとして勤務するには資格取得することが必須だったことから取得を目指しました。
まずは、社会福祉士の実習内容を教えてください。
平塚さん:
2ヶ所の実習が必要な時だったので、私は知的障害者施設と高齢者施設に実習に行きました。
知的障害者施設では…
利用者さんの特性に合わせてグループごとに分かれていたので、各グループに入り、利用者さんの生活環境や能力を観察しました。社会福祉士としてどのような支援をして、これからどのような支援をしていくのかを実際的に学ぶことができました。
また、実際に働いている工場も見学させていただき、利用者さんだけではなく、周りの方々との関わりを見る機会になりました。
高齢者施設では…
実習時には老人保健施設で働いていたので、高齢者の方との関わりには慣れていました。
居宅介護支援事業所や訪問介護、認知症デイサービスなどの自分が経験したことがないところにも行かせていただきました。利用者さんがどのように生活を送っているのかを知り、社会福祉士としてどのような支援をしているのかを実際的に学ぶことができました。
では、精神保健福祉士の実習内容を教えてください。
平塚さん:
地域分野と医療分野の2分野に実習に行きました。地域分野では精神障害者就労支援B型の施設に、医療分野では病院に行きました。
地域分野・精神障害者就労支援B型では…
利用者さんと一緒にプログラムに参加することで、精神疾患をもたれている方の思い、生活のし辛さを伺い、支援者として何ができるのかを学びました。
医療分野・病院では…
デイケアで退院されてすぐの方、退院されてしばらく経って落ち着いている方、高齢の方それぞれの支援について学びました。
病棟の方は見学のみでしたが、病棟で過ごしている方、退院を目前にしている方のカンファレンスに参加させていただきました。
実習で大変だったこと、不安だったこと、良かったことは何ですか?
平塚さん:
大変だったことは
高齢者施設では仕事で慣れていたのですが、知的障害者施設・精神障害者施設ではいろいろな特性の方がいて、自分のペースがあり、話しかけても反応がないこともあるので、コミュニケーションがうまく取れず、関係性を築くのに苦労しました。
あと、精神保健福祉士の実習では、巡回指導で初めましての先生がいらっしゃったので、何を話していいか困りましたね。突っ込んだ話もできないですし…
ただ、指導者さんも同席してくださったので、細かい話をする良い機会にはなりました。
講師:
巡回指導は社会福祉士の実習では2回と帰校日と言って本校に来ていただく日が2回あります。
精神保健福祉士の実習では地域分野で2回、医療分野で2回の巡回指導があります。
平塚さん:
不安だったことは…
関係性が築けていない状態で、その人の生活リズムを崩してしまうのではないかという不安がありました。
この不安を実習指導者さんに伝えると、「生活リズムを崩してしまう可能性の少ない方に接してもらいますし、こちらからも声を掛けますよ。」と言っていただきました。
それでも、指導担当者さんがずっとそばで見てくれている訳ではないので、心配でした。なので、話しかけても反応があまりない方には必要以上に介入しないように心掛けました。
良かったことは…
関係性を築くのが大変だった反面、言葉以外でのコミュニケーションの取り方を実際に体験できたことが良かったです。また、最終日に利用者さんから声をかけてもらえたり、手紙をもらえたりしたことがとても嬉しかったですね。
私自身、新しいことを吸収したいという気持ちが強い方なので、体力的にはしんどいですが、精神的には楽しかったです。毎日違うことが起きるので充実していました。
実習前にその分野のレポート学習が終わっていない場合、不安ではなかったですか?
平塚さん:
実習に行く施設のことをきちんと調べて行けば大丈夫ですよ。
講師:
計画書に事前学習について記入する項目がありますから、事前学習はしていただくことになります。
実習を終えて、心に残ったことは何ですか?
平塚さん:
知的障害者施設と精神障害者施設での実習は印象深くて…
未だに利用者さんの顔を覚えていますね。目の前にある事実をしっかりと捉えて、自分で何ができるのか、自分だったらどうするのかを考えて、次の日に活かしていました。
また、自分の立てた計画に固執したり、できる・できないで判断したりするのではなく、合う・合わないで考え、その人に合った関わり方を学ぶことができました。
第二章 両立編
実習中のスケジュールを教えてください。
5:30 | 起床 |
6:30 | 自宅出発 |
8:00 | 実習開始 |
17:00 | 実習終了 |
19:00 | 帰宅 日誌の作成は1時間程度で書き上げる |
22:00 | 就寝 |
---|
平塚さん:
私は独身だったので…
家族のことをしなくてよかった分、実習に集中できましたね。
クラスメイトの中には地域のケアマネをしている方がいたので、実習中も自分のことだけという訳にはいかず、大変だったみたいです。
仕事と実習の両立はどのようにされていましたか?
平塚さん:
精神保健福祉士の実習は仕事をしながらの実習でした。
実習は連続で行かないといけなかったのですが、私の場合は入職段階で職場から資格取得を言われていたので、休みを取ることは問題なかったです。
ただ、同僚にも理解と応援をしてもらえるように努力しました。
実習中は実習に専念をして、実習が休みの日に仕事に行くという感じでした。
精神保健福祉士の実習は基本的に自宅から離れた場所に配属になるので、通うのに負担はありました。しかし、実習配属担当者さんが細かく調整をしてくれました。なので、実習ヒアリングの際に自分の実習条件を細かく伝えていた方が良いと思います。
講師:
聞かせいただいた条件が全て叶うという訳ではないです。ですが、学校とすり合わせをして、決めていくということが社会福祉士・精神保健福祉士のどちらの実習でも必要です。
職場に理解を得るためにはどうすればいいですか?
平塚さん:
資格を取得したい気持ちだけを伝えるのではなく…
取得後にどういうことができるのか、会社にとってどういうメリットがあるのかを伝えると理解を示してもらいやすいのではないかと思います。
つまり、資格を取得したい根拠を示すということですね。
日誌・レポートと実習の両立はどのようにされていましたか?
平塚さん:
実習をするのも大変ですが、日誌とレポートを書くのも大変です。
レポート学習は…
設定された期限で提出をするとなると、ギリギリまでやらないんじゃないかと思ったので、まず初めに、レポートの計画を立てました。
テキストを読んでから、課題についてより詳しくネットや著書で調べて、情報を増やしたり、スクーリングで貰える資料を活用したりして、実習中はレポートを書かなくていいように進めました。
日誌は…
社会福祉士の実習で書き慣れていたので、実習をしながら、書くことを考えていましたね。
実習計画を立てた時点では、細かい目標は立てられないし、決めたことができるかも分からないのです。なので、毎日の日誌で細かい目標を立て、実習指導者さんにしたいことを伝えたり、日誌に書いたりしていました。
日誌はまず、パソコンで下書きを作成してから手書きで清書していました。
番外編
福祉系の仕事以外でも入学して、実習に行けますか?
講師:
社会福祉士科は全く違う職種からご入学する方もいらっしゃいますね。
精神保健福祉士科は社会福祉士を取ってからの方が多いので、多職種からという方は少ないですね。
平塚さん:
全く違う職種からの方は実習の時に何をしたらよいか分からず…
ただただ、時間だけが過ぎていったという方もいました。
その時間を苦痛と捉えるか、経験と捉えるかで変わってくると思います。
マイナスに捉えず、どうすればよいかを考えて行けば、得るものがあるのではないかと思います。
講師:
また、年代的にも大学を卒業されてすぐの方や定年されてからの方など様々ですね。
社会福祉士でも精神保健福祉士でも70代で実習に行った方もいらっしゃいます。事前に本人と話し合って、その中で、
できるだけ不安を取り除いてから実習に行ってもらうようにしています。
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